高齢の生活保護入居者の喪主になった大家さん
2013年は主に、中古一棟物アパート・マンションを購入してきました。ワンルームがほとんどということもあり、その入居者の中には、高齢の単身者の方で、生活保護を受給されている方が多くいます。
せっかくのご縁ですので、私はすでに住まわれている方に引き続き入っていただくのはもちろん、新規の方についても、単身者で高齢の生活保護受給者の方にも入居していただいています。
心配もあります。ひとつは経済面であり、もうひとつは健康面です。知り合いの大家さんの中には、高齢の生活保護者の方で家賃の滞納が続き、最後は孤独死というケースに遭遇した方もいます。身内がいない方だったので、お葬式まで出してあげたということでした。
自殺・他殺と違い、病死は一般的には、告知事項には該当しませんが、孤独死のようにあまりに発見が遅れた場合には、告知事項に当たるといわれています。精神的な面だけでなく、経済的にも損失は小さくなかったようです。
私の場合も( 高齢の方ではありませんでしたが )、不自然死、首吊り自殺、練炭自殺と、3回も遭遇しました。注意点としては、連帯保証人・保証会社を付けること、身元引受人を確認しておくことなどがあります。その方が、お互いのためといえるでしょう。
また、孤独死という悲しい出来事を防ぐためには、建物・賃貸管理会社、自分たちで、清掃・メンテナンス・修理・リフォーム・リノベーション・家賃督促集金等、事あるごとに、外部チェック・訪問等、様子を伺うことも重要だと思います。
私も、博多・札幌・名古屋・京都等、地方の物件を持っていますが、出張・所用・観光等用事の際には訪れて、外部チェック( 空室の場合は内部も )をしております。電気・ガスメーター・郵便受け・洗濯物・カーテン等の状況からも、入居中の状況は、ある程度わかるものです。
ちなみに、私が自分の物件で経験したケースでは、不自然死は母親、首吊り自殺の際は知人、練炭自殺の際は友人と、入居者の方と連絡をとれないことを案じた周りの人の訪問による発見が大半でした。
逆にいうと、身寄りのない方や人づきあいのない方は、何かあったときの発見が遅れるリスクが高いということです。言いかえれば、大家や管理会社が彼らの命綱ということもありえるのです。
2013年に購入した名古屋の物件の例ですが、立ちよったところ、ある部屋の郵便受けに郵便物がたまっていたので不審に思い、管理会社で調べてもらうと、病気で入院中ということが判明しました。
そのような事情がわかれば、退院後も管理会社の方にお願いして、この方の健康面については特にケアしてもらうということができます。
昨今は、「 高齢者専用賃貸マンション 」等も流行っているといいます。同条件の高齢者を集めれば、生活時間帯や価値観の相違による近隣トラブルも減りますし、高齢者用のケア・介護サービス等の付加価値を付ければ、立地にかかわらず、需要はありそうです。
年をとってから、高額の民間老人ホーム等に入れる人は少数です。そういったところは、入居に何千万円、毎月何十万円もかかります。そして、そこが倒産すれば、パーです。かといって、国の特養は何年も待たなければ入れないという状況です。
昔は一人暮らしの高齢者の方を断る大家も多かったそうですが、今は時代も変わっています。リーズナブルで、実効性のある住宅を提供することは、私たち不動産経営者の使命の一つとしてクローズアップされてきているのかもしれません。
また、最近はポット、カメラ( 動態反応 )等、不測の事態を防ぐための生態反応確認サービス等もあるようです。大家は人々が生活する場所を提供しているのですから、入居者の病気や死という場面に遭遇することもあります。
高齢化の進む日本で、最悪の事態を防ぐために、大家としてできることはやっていきたいと、いつも考えています。
【 まとめ 】
日本は、少子高齢化・不景気にあって、高齢化対策の波が不動産経営にもやってきつつある。ピンチをチャンスに変えることができるかもしれない。
編集部より:この記事は 不動産投資で地獄を見た人の怖い話 加藤隆さん 様の2014/04/01の投稿を転載させていただきました。